ノーコードツールとしてNotionを使った生産計画の策定

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中小企業のためのスモールDXメソッド」 P138

製造現場では、「納期通りに製品を仕上げる」ために、いつ・だれが・どの設備で・どの注文の加工を行うかを管理することが求められます。
遅れや設備の稼働ムラを防ぐには、適切な生産計画を立て、その情報を見える化して共有することが重要です。しかし、多くの企業では十分に対応できていないのが現状です。
こうした課題に対し、ITツールの活用は、生産計画の把握や調整を効率的に行うための有力な手段となります。
なかでもNotionは、無料で始めることができ、柔軟に情報を整理できるノーコードツールとして、中小企業にとって情報管理の第一歩となります。

生産計画が作られない、共有されない現状
「前日にならないと、何を作るか分からない」という製造現場は、珍しくありません。
先々の予定が分かれば、後工程の準備や人員の調整、材料の調達、外注手配、段取りの最適化を図ることができ、あわせて出荷可能日を把握し、納期管理を行うことも可能となります。
しかし、生産計画を立てていても、特急品の割り込みなどにより頻繁に変更が発生するため、変更が容易な方法で管理しなければ、最新の情報を反映し続けることは困難です。
その結果、生産計画は管理者だけが理解できる「下書き」のような状態にとどまり、関係者に共有されなくなるケースが少なくありません。

従来の管理方法の限界
中小製造業では、生産計画を立てて見える化する手段として、エクセルやホワイトボードが用いられるケースが多く見られます。
これらのツールは、シンプルで導入のハードルが低いという利点がある一方、次のような限界があります。
● 工程間の連携が見えない
その日の作業内容は把握できても、前工程・後工程を含めた全体の流れや、納期との関係性が不明瞭になりがちです。
また、工程変更が生じた場合でも、その影響範囲を把握することが難しく、結果として特定の担当者の経験や勘に頼った「職人技的な管理」に陥りやすくなります。
● スケジュール変更に弱い
中小企業では、特急品の割り込みなどにより、生産計画の変更が頻繁に発生します。
その都度、エクセルの修正やホワイトボードの書き換えが必要となり、作業負荷が増すだけでなく、転記ミスや反映漏れといったリスクも高まります。
● 情報を活かした分析ができない
エクセルやホワイトボードによる管理は、その場限りの運用になりやすく、情報の蓄積が十分に行われません。
その結果、設備別・作業者別の稼働状況を把握し、改善につなげる視点が持ちにくくなります。

生産計画をIT化することで実現したいこと
● どの注文(生産指示)に基づいた作業かを追跡できるようにする
 → 生産トラブルや納期遅れが発生した際、営業担当との情報共有・対応が迅速になります。
● 工程の前後関係を明確にし、納期に合わせた現実的な計画を立てやすくする
 → ある工程の遅れがどの納期に影響するのかを可視化でき、余裕を持ったスケジュール調整が可能になります。
● 設備ごとの稼働予定を“見える化”し、無理のない負荷調整を行えるようにする
 → 各設備の空き状況や重なりを把握しながら、生産の優先順位や割り振りを柔軟に判断できます。

Notionで作成した生産計画の例

1. 生産指示で注文に関する情報、工程、使用設備を入力します
2. 納期を考慮して工程間の日程を仮入力します
3. 設備毎の予定を見ながら具体的な日程調整を行います
今回作成したNotionを活用した生産計画について、こちらのURLで公開していますので、生産計画の作成例としてご参照ください。

使い方
・右上の複製から、自身のNotionに複製する。
・顧客企業や設備について情報を入れる。
・生産依頼について、右上の「新規」ボタンより情報を入力する。
・生産計画の項目から生産計画を確認する。
 「設備稼働状況」のタブでガントチャートが確認できるほか、「カレンダー表示」することもできます。

上記は一例となります。
Notionを活用して自社に合った形へカスタマイズする際や、生産スケジューラー、生産管理システム導入を検討する際のヒントになれば幸いです。

追記:Notionで作成した工程計画
上記「Notionで作成した生産計画の例」では、「顧客企業」「設備」「生産依頼」「工程」を関連づけて生産計画を作成しています。
一方で、必ずしもここまで詳細にデータを蓄積したいわけではなく、ガントチャートを用いて工程計画だけを立てたいという要望もあるでしょう。
そのような場合の、よりシンプルな例として、「工程」のみで構成した一つのテーブルを用いて工程計画を策定する方法が考えられます。
https://pouncing-gear-bbe.notion.site/Notion-24a4ef1dc518809bad9edeb447416fe6

この方法でも、設備別や作業者別のスケジュール管理は可能です。
ただし、情報同士が関連づけられていないため、どの生産依頼や顧客に関わる作業であるかは、工程の名称の付け方を工夫して判別できるようにする必要があります。
顧客名や製品名を聞くだけで、どの注文かがすぐに分かるような企業であれば、この方法の方がシンプルで使いやすい場合もあります。
自社のIT活用レベルや、生産計画を策定する目的に応じて、適切な方法を使い分けてください。

補足:Notionとは?
Notion(ノーション)は、ドキュメント、データベース、タスク管理、カレンダーなどの機能を一つの画面で使えるオールインワンの情報管理ツールです。プログラミング不要(ノーコード)で、自由にページや表、リスト、ガントチャートを作成できるのが特長です。

もともとは個人のメモやプロジェクト管理に使われてきましたが、近年では企業の情報共有・業務管理にも幅広く活用されています。
製造業においても、次のような理由からNotionが「情報化のはじめの一歩」として考えることができます:
● ノーコードで簡単に構築できるため、ITに詳しくなくても使える
● 簡単にデータベースを構築できる
● 無料から利用できる

補足:データベースとエクセルの違い
エクセルとNotionのようなデータベースツールは、見た目は似ていても考え方が異なります。
● エクセルは「表計算」
エクセルは基本的に数字の集計や計算に特化したツールで、各セルに数式や値を直接入力していきます。自由度は高い反面、データの構造がバラバラになりやすく、どこを参照しているのかわからなくなることも珍しくありません。
● データベースは「情報の蓄積と活用」
エクセルは一つの表にすべての情報を詰め込む形ですが、データベースは、情報を分けて管理し、必要なときに結びつけて表示します。これにより、情報の重複や冗長性(同じデータが複数の場所に保存されている状態)防ぎ、どの情報をどこで管理すべきかが明確になります。

参考資料
リブロワークス(2023)『Notionプロジェクト管理完全入門』インプレス

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